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「七之助捕物帖」全三巻、オンデマンド本で70年ぶりに完結

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七之助捕物帖 第三巻納言恭平(なごんきょうへい)さんの代表捕物小説をオンデマンド印刷で復刊した、『七之助捕物帖 第三巻』(捕物出版)を入手しました。

納言恭平の代表作、「七之助捕物帖」全56篇が約70年ぶりに現代仮名遣いに改めて、オンデマンド印刷により、全3巻の単行本として完結しました。

捕物小説の単行本出版がブームとなる直前の昭和24年(1949年)に、著者の納言さんが逝去されたため単行本化が進まず、その代表作「七之助捕物帖」の全貌は知られていませんでした。

捕物出版では、著者の作品の調査を進める過程で、著者の出身地である熊本県玉名市にある草枕交流館に、著者の遺品がご遺族によって寄贈されていることが判明し、草枕交流館とご遺族の協力を得ながら、著者の遺品の書籍・資料と、全国各地の図書館に保管されている昭和15年から昭和24年の雑誌を参照しつつ纏めたものが本書だそうです。

オンデマンド出版に至るまでの過程にも波瀾万丈のドラマがあって、「七之助捕物帖」をもう一度世に送り出したいという人たちの思いが伝わってきます。

本書第三巻には、裏店仁義、水の深川、お高祖頭巾、狂い蝶、謎の振袖、小指千両、魔法布呂敷、宿借り仏、夢の首吊り、蛇の目の女、石となった千両箱、緋牡丹狂い、人喰い花、白鬼、色魔殺し、金猫銀猫、熊娘、仇討幽霊の18編を収録しています。

絶筆となった「仇討幽霊」では、一方変わった惨劇が演じられて深川伊勢崎町のゆうれい屋敷に、現場を調べる同心浜中茂平次から七之助は呼び出されます。

大店の主人風の男と労働者風の男が格闘をして相打になったという恰好。大店の主人には短銃が握られていて、労働者風の男の背中には短刀がぴいんと突っ立っていました。しかも、雨でもないのに、この男の半纏や股引、ざんばら髪まで、水から上がったように濡れていました。

さて、七之助はこの不可思議な事件をいかに解き明かすのでしょうか。

ときには半七や銭形平次のような、江戸の言葉や風俗がよみがえってくるような、古き良き捕物小説に浸ってみるのも悪くはないと思っています。

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『七之助捕物帖 第三巻』オンデマンド印刷版(納言恭平・捕物出版)

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