2018年12月1日から12月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2018年12月の新刊 上」を掲載しました。
今回は、幻冬舎時代小説文庫から刊行する、木下昌輝(きのしたまさき)さんの『天下一の軽口男』に注目しています。
戦国時代を描く『宇喜多の捨て嫁』や幕末に題材をとった『人魚ノ肉』など、激動する時代を切り取った作品を描いてきた作者が、江戸中期に活躍した上方落語の祖・米沢彦八を主人公に笑いの世界を描いたことでギャップが楽しめる作品です。
大坂の生國魂神社に笑いの神様がいる――。その名は米沢彦八。まだ笑いが商売になっていない江戸中期に、大名の物真似で権力に歯向かい、滑稽話で聴衆の心を掴んだ男。仲間の裏切りや盗作騒動など、多くの挫折を味わいながらも自分の笑いを追求していく彦八。笑いで人を救い、笑いの為に一生をなげうった愛すべきぼんくら男、波瀾万丈の一代記。
米沢彦八は、露の五郎兵衛、鹿野武左衛門らとともに、「上方落語の始祖」と呼ばれる人物で、タイトルの「軽口」は上方落語の古い別称から来ています。
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『天下一の軽口男』(木下昌輝・幻冬舎時代小説文庫)