有明夏夫(ありあけなつお)さんの名作捕物小説、『浪花の源蔵召捕記事全集 第二巻 狸はどこへ行った』(捕物出版)を入手しました。
本書は、有明夏夫さんの直木賞受賞作「大浪花諸人往来」シリーズをオンデマンド印刷で復刊し、『浪花の源蔵召捕記事全集』として全5巻に再編集したシリーズの2巻目となります。
文明開化期の大阪の町を舞台とした異色捕物小説。36話からなる浪花の源蔵召捕記事の全編を全5巻に収録。
「大浪花諸人往来」が第80回(昭和53年下半期)直木賞を受賞したのちに執筆された続編。
本巻には、新春初手柄、異人女の目、大浪花葬礼情景、狸はどこへ行った、召捕夢物語、灯台の光、不知火の化粧まわしの7編を収録。このうち、「大浪花葬礼情景」と「狸はどこへ行った」の2編は30余年ぶりの収録である。
多くの捕物小説が江戸時代の江戸を舞台とする中で、明治初年の文明開化期、しかも大阪の町を舞台としたという極めてユニークな設定の捕物小説であるとともに、大阪人の心意気や、文明開化に伴う急激な世相の変化に翻弄される庶民の心情がユーモラスに描かれた傑作。
(Amazonの内容紹介より)
「浪花の源蔵召捕記事全集」は、明治十年ごろの大阪を舞台にしています。大阪朝日町東筋に住み、旧幕時代(江戸の頃)には捕亡下頭として十手を与っていた赤岩源蔵が主人公です。
当時東町奉行所の同心で、新政府になって一等巡査をつとめる厚木寿一郎の下で、捕物を続ける源蔵の気質と人情味、文明開化期の大阪が描かれていて面白い作品です。
物語は、一話完結の連作形式で、源蔵が取り扱った事件を、源蔵の近所に住む海苔問屋を営む楽隠居・大倉徳兵衛が上方新聞に投書をするというユニークな形で綴られていきます。
この上方新聞は、読者(投書家)の寄稿した記事で構成され、投書家には稿料が出る訳ではありませんが、寄稿した本数や中味を勘案して百号ごとに番付が掲載されるといった趣向があります。
徳兵衛は、読者をアッと言わせる記事を書いて、三役入りすることを悲願にしています
本書はオンデマンド印刷版でサイズはA5判です。通常の単行本は四六判なので、それよりも少し大きい判型となります。判型は大きい分、フォントも通常の単行本より気持ち大きめで眼に優しいと思いました。
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『浪花の源蔵召捕記事全集 第二巻 狸はどこへ行った』オンデマンド印刷版(有明夏夫・捕物出版)