先週末、千葉県の真ん中からやや東南に位置する、房総の小江戸、大多喜を訪れました。
大多喜へは、外房線の茂原駅で下車し、駅前から小湊バスの大多喜行きに乗って向かいました。バス便は本数が少ないことから、ちょっとしたバス旅気分を味わいました。
天正18年(1590)に徳川家康が江戸城に入ると、安房の里見氏の勢力を抑えるために、家臣の本多忠勝に大多喜城(当時は小田喜城と呼ばれた)が与えられました。
城主は本多氏3代(忠勝・忠朝・政朝)のあと、阿部、青山、稲垣氏へと引き継がれて、元禄十六年(1703)からは松平(大河内)家が幕末維新までこの地を治めます。
徳川四天王の井伊直政に続けとばかりに、大多喜では『本多忠勝・忠朝』をNHK大河ドラマにと誘致活動を行っていました。
地元の名産・イノシシ肉とタケノコの入ったウリ坊まんもおすすめです。観光本陣(観光センター)で1個200円で食べることができます。
大多喜城本丸跡に、昭和50年に城郭様式の千葉県立総南博物館が開館し、現在は千葉県立中央博物館大多喜城分館となっています。
館内は「房総の城と城下町」をテーマに、1階から4階まで展示室が設けられています。とくに甲冑の展示が充実していて、目を見張るものがありました。
大多喜へはムーミン列車で知られるいすみ鉄道でも行くことができます。
帰りは、いすみ鉄道で大多喜駅から大原駅まで足を延ばして、漁港で名物の伊勢海老と蛸で、遅い昼食を楽しみました。
さて、本多忠勝というと、「蜻蛉切」という号の愛槍が有名で、家康の伊賀越えの際にも活躍しています。一方で本多家の姫君のイメージもあります。
豊臣秀頼の正室千姫は大坂夏の陣の後、忠勝の孫・忠刻に再嫁しています。忠勝の長女・小松姫(月姫)は沼田城主真田信之に嫁いでいます。
二人の姫は池波正太郎さんの時代小説にも登場し、歴史好きにはよく知られた存在ですね。
そんな戦国の姫を取り上げた時代小説のアンソロジー、『女城主 戦国時代小説傑作選』がおすすめです。同書には、井上靖さんの「本多忠勝の娘」も収録しています。
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『峠越え』(伊東潤・講談社文庫)
『女城主 戦国時代小説傑作選』(細谷正充編・PHP文芸文庫)