橘沙羅(たちばなさら)さんの文庫書き下ろし時代小説、『新聞売りコタツ 横浜特ダネ帖』(ハルキ文庫)を入手しました。
著者の橘さんは、明治初期の横浜を舞台に恋とミステリーを描いた『横濱つんてんらいら』で、第八回角川春樹小説賞を受賞し、本書は受賞後の第一作です。
受賞作と同様に、明治十六年ごろを舞台にした、ミステリータッチの作品で楽しみです。
明治のはじめ海を越えてやって来た異人たちが闊歩する、日本最先端の街・横濱にやって来た庭師の息子・藤野辰吉ことコタツ。今までになかった職業「新聞売り」となり、暴れ馬に撥ねられて足を悪くした妹の絹や、小説を書き糊口を凌ぐ元武士の小宮山らに囲まれ、貧乏ながらも日々を過ごしていた。
しかし「薄幸な美女」に弱い辰吉は、商売そっちのけで事件に巻き込まれた女性を助けて横濱を駆け回る羽目に。〈横浜ガス局〉〈幽霊アンマの謎〉――はたして事件の果てにコタツは何をみたのか、そして江戸と明治の狭間にある闇とは……。
一年前の2017年10月の刊行でしたが、その時は見逃していました。
新刊『水神の棺 古代豪族ミステリー 和邇氏篇』が気になって、調べたところ、本書に出合いました。
本書のプロフィールによると、著者は藤ノ木陵の名義で、『駒、玉のちりとなり』『天翔ける皇子』という古代史をテーマにした小説も書かれています。
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『新聞売りコタツ 横浜特ダネ帖』(橘沙羅・ハルキ文庫)
『横濱つんてんらいら』(橘沙羅・角川春樹事務所)
『水神の棺 古代豪族ミステリー 和邇氏篇』(橘沙羅・ハルキ文庫)