戸田義長(とだよしなが)さんの文庫書き下ろし時代小説シリーズの最新刊、『恋牡丹(こいぼたん)』(創元推理文庫)を入手しました。
戸田義長さんは、本作で時代小説ながら、ミステリ作家の登竜門である鮎川哲也賞の最終候補に残り、推理小説の老舗・創元推理文庫からの異例のデビューを果たしました。
下手人探し、密室の謎、不在証明崩し、隠された動機と、ミステリファンをも納得させる、四つの謎解きが楽しみです。
北町奉行所に勤め、若き日より『八丁堀の鷹』と称される同心戸田惣左衛門と息子清之介が出合う謎の数々。
神田八軒町の長屋で絞殺されたお貞。化粧の最中の凶行で、鍋には豆腐が煮えていた。長屋の者は皆花見に出かけており……「花狂い」。
七夕の夜、吉原で用心棒を頼まれた惣左衛門の目の前で、見世の主が殺害された。衝立と惣左衛門の見張りによって密室状態だったはずなのだが……「願い笹」。
惣左衛門と清之介親子を主人公に描く、滋味溢れる時代ミステリ連作集。移りゆく江戸末期の混乱を丁寧に活写した、第27回鮎川哲也賞最終候補作。
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『恋牡丹』(戸田義長・創元推理文庫)