先日、新宿区立新宿歴史博物館で、平成26年度に開催された特別展の図録、『高須四兄弟 新宿区・荒木町に生まれた幕末維新』を入手しました。
現在の新宿区荒木町に「津の守坂(つのかみさか)」という坂があります。美濃国高須藩三万石の松平「摂津守(せっつのかみ)」家の上屋敷があったことが由来となっています。なお、新宿歴史博物館は、津の守坂を挟んで向かい側の少し奥まったところにあります。
高須松平家は、尾張徳川家の分家で支藩、尾張徳川本家に嗣子がない場合は当主として養子を出す家柄でした。
高須藩松平家十代当主義建(よしたつ)の実子、二男慶勝(よしかつ)、五男茂栄(もちはる)、七男容保(かたもり)、八男定敬(さだあき)を、「高須四兄弟」と呼びます。
一番年長の慶勝は本家尾張徳川家を継いで十四代当主となります。七歳下の茂栄は高須家十一代を継ぎ、慶勝が隠居処分にされた後、尾張十五代当主となりました。さらにその後、慶喜の跡を継いで一橋家十代当主となりました。
四歳下の容保は会津松平家の養子になり、十一歳下の定敬は桑名松平家へ養子に入ります。
幕末維新の激動の中で生きた四人は、片や明治新政府に協力し、片や「朝敵」の汚名を着て政治的立場を異にしました。
図録には、その四人が明治十一年に一堂に会して、銀座の写真館で撮影した写真が掲載されています。写真に切り取られた風貌には四人のこれまで生き様が刻み込まれていて、歴史の重みが感じられます。
この写真をモチーフに、「高須四兄弟」の幕末維新を描いた歴史・時代小説に、奥山景布子さんの『葵の残葉』があります。この作品を読み始めました。
■Amazon.co.jp
『葵の残葉』(奥山景布子・文藝春秋)