本能寺の変を新解釈で描いた、『信長の棺』で知られる時代小説家、加藤廣(かとうひろし)さんが、4月7日に循環器不全のため死去されました。享年87歳。
加藤さんは、東京生まれ。東大法学部卒業後、中小企業金融公庫(現日本政策金融公庫)、山一証券経済研究所顧問などを経て経営コンサルタントとして独立されました。
2005年、74歳のときに『信長の棺』で小説家デビュー。本能寺の変後に織田信長の遺骸が消えた歴史ミステリーを描いた作品は、小泉純一郎首相の愛読書としても紹介され、ベストセラーとなりました。同書と『秀吉の枷』『明智左馬助の恋』は「本能寺三部作」と呼ばれました。
およそ10年あまりの作家時代ながら、10作を超す作品を発表されていました。いずれも視点が新して、現代人が読んで面白い、中身の濃い歴史・時代小説ばかりばかりです。
信長と秀吉、光秀の三人の物語に妄想を広げながら、謹んで故人のご冥福をお祈りします。
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『信長の棺(上)』(文春文庫)
『秀吉の枷(上)』(文春文庫)
『明智左馬助の恋(上)』(文春文庫)
『利休の闇』(文春文庫)