文芸評論家の井家上隆幸(いけがみたかゆき)さんが、1月15日、肺炎で死去されました。84歳でした。
井家上さんは、三一書房などの編集者を経てフリーライターとなり、文芸評論家として活躍されていました。
とくに冒険小説評論の最前線にいて、1983年の日本冒険作家クラブの発足にも参画されています。早川書房から刊行された『20世紀冒険小説読本』の(日本篇)と(海外篇)は、冒険小説ファンのバイブルで、胸をときめかせながら読んだのを思い出しました。
近年は時代小説の書評や、『蝦夷地別件』(船戸与一・新潮文庫)、『彷徨える帝』(安部龍太郎・新潮文庫)、『忠臣蔵心中』(火坂雅志・講談社文庫)、『ジャガーになった男』(佐藤賢一・集英社文庫)、『傭兵ピエール』(佐藤賢一・集英社文庫)などの文庫解説を執筆されていました。
ときにはジャーナリスティックに、ときにはセンチメンタルな、切れ味鋭い文章に惹かれていました。
十年くらい前にお会いする機会があり、当時の時代小説界のお話を伺ったことが懐かしく思い出されます。
謹んでご冥福をお祈りします。
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『20世紀冒険小説読本 日本篇』(早川書房)
『20世紀冒険小説読本 海外篇』(早川書房)
『ジャガーになった男』(佐藤賢一・集英社文庫)
『傭兵ピエール(下)』(佐藤賢一・集英社文庫)