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六代将軍家宣の実弟松平清武が、享保の改革を助ける

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将軍を蹴った男 松平清武江戸改革記誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『将軍を蹴った男 松平清武江戸改革記』がコスミック・時代文庫から刊行されました。
三代将軍家光の孫にして六代家宣の実弟という血筋で、七代将軍家継が危篤に陥った折、八代将軍の第一候補でありながら、権利をあっさりと放棄した、上州館林藩主松平清武。その清武を主人公にしたシリーズ第2弾です。

松平清武は、次代将軍就任を懇請されながら、庶民の目線第一という姿勢を頑なに貫き通し、長屋住まいを続けていたのである。
そんな人柄と才を見抜いたのは、八代将軍となった吉宗であった。清武は南町奉行の任に就くことになる大岡越前守忠相とともとに、強引に政の補佐役とされ、市中から世直しに尽力。
足高の制や相対済令の制定や小石川養生所の設立など、おなじみの改革を陰から推進していく。享保の悪を斬る正義の剣が新しい世を築いてゆく……。

本シリーズでは、清武が身分を隠して市井に暮らし、庶民が遭遇する事件や出来事、困窮ぶりを将軍吉宗に伝え、世を正すための提言をしていくところが読みどころです。
「享保の改革」として知られる改革の多くに、清武が絡んでいたという設定に興趣を覚えます。

享保の改革は、後に行われた寛政の改革や天保の改革のように、失敗に終わらずに一定の成果を残した要因としては、庶民生活や経済活動に精通した視点が盛り込まれていたように思われてなりません。

改革の裏に、清武のような影の補佐役がいても不思議ではなくリアリティをもって読み進められます。
また、高齢を理由の一つに将軍位を蹴った清武の年齢に似合わぬ、颯爽としたチャンバラシーンからも目が離せません。

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『将軍を蹴った男 松平清武江戸奮闘記』(第1作)
『将軍を蹴った男 松平清武江戸改革記』(第2作)