2018年の大河ドラマの主人公は西郷隆盛。
PHP文芸文芸文庫より、西郷隆盛を取り巻く人々の視点からその実像を浮き彫りにした、短編集、『西郷隆盛 英雄と逆賊』が刊行されました。
明治維新の英傑でありながら、新政府に叛旗を翻した男・西郷隆盛。歴史に大きな足跡を残しながらも、さまざまな謎に包まれたその実像を、盟友や家族といった周囲の人々の目を通して浮かび上がらせた傑作短編集。
西郷隆盛の人生を俯瞰できる「動乱の詩人」(池波正太郎)。
西郷の盟友・勝海舟との交流を描いた「西郷隆盛と勝海舟」(海音寺潮五郎)。
西郷隆盛の弟従道を主人公にした「兄の陰――西郷従道小伝」(南條範夫)。
西郷と並び立つ大久保利通に焦点を当てた「秋霜の隼人」(古川薫)。
時代小説の巨匠・名手たちの作品に加えて、植松三十里さんの「可愛岳越え」を収録しています。
「可愛岳越え」は、西郷隆盛が奄美大島に流されたときに、島妻の愛加那との間に生まれた菊次郎を描いた短編で、このアンソロジーのために書き下ろした作品です。
本書は、時代小説を知り抜いた文芸評論家の細谷正充さんならではのセレクションが光る、歴史と人物に触れ、高い文学性を満喫できる、歴史小説傑作選です。
植松三十里さんには、愛加那を主人公とした『愛加那と西郷』(単行本刊行時のタイトル『黍の花ゆれる』)という、感涙の長編小説があります。
男の目線で描かれることが多い、西郷の別の素顔に触れられる、こちらもぜひ、読んでおきたい作品のひとつです。
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『西郷隆盛 英雄と逆賊』
『愛加那と西郷』