伊東潤(いとうじゅん)さんの歴史ノンフィクション、『戦国北条記』がPHP文芸文庫より刊行されました。『実録 戦国北条記 戦史ドキュメント』(エイチアンドアイ・2014年4月刊)を改題のうえ、加筆修正したものです。
本書は、戦乱の世を舞台に、武将たちの光と影を描いた骨太な戦国時代小説で活躍する著者による、歴史読み物(ノンフィクション)です。初代早雲庵宗瑞(伊勢盛時)から始まり、二代氏綱、三代氏康、四代氏政、五代氏直の北条五代の栄光と没落を最新の歴史研究の成果をもとに描いています。
国府台、河越、三増峠の各合戦や小田原籠城戦――。北条五代を「合戦」と「外交」を軸に読み解くことで、関東における戦国百年の実相が見えてくる! 伊勢盛時(のちの北条早雲)による伊豆平定から、小田原で豊臣秀吉に屈するまでの興亡の歴史を、最新の研究成果を盛り込みドラマチックに描く、戦国ノンフィクション。
私自身も、戦国時代、関東に覇を唱えた北条氏について、下剋上を行った梟雄・初代北条早雲や豊臣秀吉に逆らった守旧的で暗愚な末期の主君たちなどといった、旧来からある「俗説」から、過小評価していました。
ところが、本書で、民との共存共栄を目指した王道楽土を築くことを旨とした領国統治思想をもち、関東にその支配秩序を築いたことを知りました。ほかの戦国大名とは異なる北条氏のユニークな魅力にはまりそうです。
本書で北条氏に興味を持った方には、同じ著者による、長編時代小説『秀吉に挑んだ義将 北条氏照』(PHP文庫)がおすすめです。
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『戦国北条記』
『秀吉に挑んだ義将 北条氏照』