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付添い屋六平太、今度は市中引き廻しの大盗賊に同道

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付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女金子成人(かねこなりと)さんの文庫書き下ろし時代小説、『付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女』が小学館文庫より刊行されました。人気シリーズの第九弾です。帯のおすすめの言葉には、『真田丸』で真田昌幸を演じた草刈正雄さんが登場しています。

付添い屋で身を立てる浪人秋月六平太は、旧知の北町奉行所同心・矢島新九郎から、「打ち首獄門にかけられる罪人の、市中引き廻しに同道していただきたい」と依頼される。引き廻しされるのは、兇盗、犬神の五郎兵衛。半年前に四谷の塩問屋に押し入って五百両を盗み、殺しも働いていた。

三月前に隠れ家を密告する投げ文があり、捕縛された。だが、金の隠し場所は白状していない。新九郎は、金の在り処と五郎兵衛一味の残党の一網打尽を期待して、六平太に付添いを依頼するが……。

物語は天保二年(1831)八月から始まり、十返舎一九の死や、女浄瑠璃の禁止、町人や農民の身分不相応の葬式の禁止など、当時の世情も紹介されています。本書の魅力のひとつは、江戸の季節や事物が巧みに物語に織り込まれていること。市中引き廻しのルートにも触れられています。

 市中引き廻しは、小伝馬町牢屋敷を出ると江戸橋を渡り、八丁堀、南伝馬町を経て京橋を渡る。そのまま西に進み、芝車町の札の辻で折り返すことになっていた。
 折り返した後は、赤羽橋から飯倉、溜池、赤坂に出て、四谷、市谷、牛込、小石川の各御門前を通る。
 さらに水道橋の水戸徳川家屋敷脇から壱岐坂を上り、本郷春木町から湯島の切り通しを経て下谷広小路に至る道順は、江戸城をほぼ一周する行程である。
 下谷広小路に出た引き廻しは、上野山下から東へと進み、浅草雷門から今戸に行く。今戸で引き返してからは、蔵前、馬喰町を経て小伝馬町牢屋敷の裏門に戻るのだ。
(『付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女』「第一話 犬神」P.39 より)

罪人の引き廻しはおおよそ一日をかけて行われて、牢屋敷内に戻った後、首を刎ねられます。引き廻しの様子が時々刻々と描かれ、サスペンスが高まり、物語に引き込まれていきます。

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『付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女』

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