福原俊彦さんの文庫書き下ろし時代小説、『海賊同心、参る!』が朝日文庫より刊行されました。
紀州海賊の末裔である坂船宗也(さかふねそうや)は、品川沖を管理する船手組に属している。しかし八代将軍徳川吉宗が考案した水練中に旗本が急死し、その責めを問われてします。宗也は汚名をそそぐため、旗本の死に不審を抱き、盟友・田沼意行と事の真相を追う。そこには吉宗の転落を狙う影が潜んでいた……。
田沼意次の密偵として働く、書物奉行の篠山辰之丞を主人公とした「書物奉行、江戸を奔る!」シリーズ、白河藩主・松平定信と老中・田沼意次の仲を取り持とうとする若き旗本高槻宗一郎が活躍する「裏門切手番頭秘抄」シリーズ、著者の福原さんには、田沼意次を重要な人物として描く作品が多いです。
本書では、戦国乱世に瀬戸内の海を荒らし回った海賊の血を引き、紀州藩の足軽から幕府の御家人となった男・坂船宗也の幼馴染みの友として、同じく紀州藩の足軽から吉宗の付きの小姓になった田沼意行(意次の父)が登場します。腕っ節が強くて水練(岩倉流泳法)の名手である宗也とともに、その活躍ぶりが楽しみです。
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『海賊同心、参る!』
『書物奉行、江戸を奔る! 徳川吉宗の機密書』
『裏門切手番頭秘抄 (1) 青雲ノ閃』