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江戸の天才数学者たちと、和算の父・関孝和

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和算の侍鳴海風(なるみふう)さんの『和算の侍』が新潮文庫より刊行されました。

本書は、和算(江戸の数学)の世界と和算家たちをテーマにした傑作時代小説集『円周率を計算した男』を改題した作品です。私自身は理系ではなく、数学が得意なわけでもありませんが、登場人物たちはいずれも実在した人物で、物語はどれも面白く、和算の世界を大いに楽しむことができました。

天才算術家関孝和に師事し、葛藤する中で円理を究めた高弟建部賢弘(たけべかたひろ)。その苦闘の生涯を描く「円周率を計算した男」(歴史文学賞受賞)ほか、独学にして大酒飲みの奇才久留島義太(くるしまよしひろ)、算学者であり大名だった有馬頼徸(ありまよりゆき)、百姓出身で孤高の算術家山口和(やまぐちかず)など、江戸の天才数学者たちを主人公に、数奇な人生模様を情感溢れる筆致で描く。

「円周率を計算した男」に登場する関孝和は、上州藤岡出身と伝えられ、甲府藩の徳川綱重・綱豊(徳川家宣)に仕え勘定吟味役となり、綱豊が将軍になると直参として江戸詰めをしています。点竄術(てんざんじゅつ)すなわち筆算による代数の計算法を発明して、和算が高等数学として発展するための基礎を作り、その学統「関流」は和算の中心勢力となり、算聖とあがめられています。

宝永五年十月二十四日(1708年)に死去し、浄輪寺(東京都新宿区弁天町)に葬られています。先日、墓を訪れ、数字に強くなれるように参拝してきました。
[map addr=”東京都新宿区弁天町95 浄輪寺”]

鳴海さんには、『算聖伝 関孝和の生涯』や『美しき魔方陣 久留島義太見参!』など、和算家を主人公にした長編もありますが、現在絶版や品切れになっています。こちらも復刊してもらえると嬉しいです。

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『和算の侍』
『算聖伝 関孝和の生涯』(新人物往来社)
『美しき魔方陣 久留島義太見参!』(小学館文庫)