鷹井伶(たかいれい)さんの文庫書き下ろし時代小説、『番付屋小平太』が徳間文庫より刊行されました。
深津小平太は旗本の三男坊だが、火附盗賊改方の父・弥七郎との折り合いが悪く家を飛び出した。幼馴染みの版元・銀杏屋吉兵衛に言いくるめられて、番付屋を始める。江戸では相撲番付を模した『見立(みたて)番付』が大流行り。小平太のやり方は、相手に悟られないように潜り込み、外から見るだけではわからない内情を探り、番付をつけるのが信条。辛口の江戸っ子を唸らせるために花魁や火消の番付調べに潜り込む……。
主人公の小平太は、旗本の三男坊で、父が火盗改めの長官という設定です。冷や飯食い時代に、暇にまかせて芸事や読書に興じていたことを生かして、家を出て市井で番付屋として活躍します。
吉原(廓)の美女番付や江戸の三男の一つである火消番付、正月料理の番付などの内情を探るうちに、事件に巻き込まれていく連作形式の市井人情小説です。天保十年(1839)から十一年(1840)ごろを舞台にしていて、当時の歌舞伎界のスターも登場し、江戸情緒も楽しめます。
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『番付屋小平太』