2016年8月1日から8月10日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2016年8月の新刊 上」を掲載しました。
今回の新刊情報はお盆休みを控えていることから、出版点数が多くなっています。注目しているのは文春文庫。諸田玲子さんの『破落戸(ごろつき) あくじゃれ瓢六捕物帖』です。
主人公の瓢六は、長崎の古物商の倅で、オランダの語学と医学に通じ、唐絵目利きもでき、知恵と機転にあふれる。おまけに色白細面で役者のような男前で、売れっ子芸者のお袖と恋仲。小悪党で娑婆と牢獄を出たり入ったりしながら、北町奉行所同心・篠崎弥左衛門の捕り物をを助けます。その小気味よい活躍ぶりが魅力です。
前月(7月)に刊行されたシリーズ第4弾『再会 あくじゃれ瓢六捕物帖』(文春文庫)では、大火で恋女房を失い自堕落な生活を送る瓢六が、かつての仲間達と、水野忠邦・鳥居耀蔵らの“天保の改革”に反撃を開始するまでが描かれています。
そして、シリーズ第5弾の本作では、いよいよ瓢六と弥左衛門らと、水野忠邦と鳥居耀蔵の文化人取締りに立ち向かっていきます。本作や前作(第4作)から読み始めても楽しめますが、第1作から読み始める(読み直す)と、瓢六への感情移入がより高まって「あくじゃれワールド」にどっぷりとハマれます。
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『あくじゃれ 瓢六捕物帖』(第1作)
『こんちき あくじゃれ瓢六捕物帖』(第2作)
『べっぴん あくじゃれ瓢六捕物帖』(第3作)
『再会 あくじゃれ瓢六捕物帖』(第4作)
『破落戸 あくじゃれ瓢六捕物帖』(第5作)