金子成人(かねこなりと)さんの書き下ろし時代小説シリーズ第八弾、『付添い屋・六平太 麒麟の巻 評判娘』が小学館文庫より刊行されました。
付添い稼業を営む秋月六平太は、日本橋南鍛冶町の青物問屋「加島屋」の主人・幸之助から下赤塚にある富士塚までの付添いを頼まれる。ここ三、四年、幸之助は道中で体調を崩してしまうということで、片道四里半を同行することになった……。(第一話 大根河岸)
主人公の六平太の生業、付添い屋とは、裕福な商家の子女が花見や芝居見物に出かける際、案内と警護を担うボディーガードのようなもの。そのため、いろいろな事件に巻き込まれることも多く、チャンバラシーンあり、人間ドラマありの物語が展開していきます。
本書には、六平太が稽古に通う四谷の相良道場に、隣接する常陸国笠松藩石川對馬守下屋敷の使い方、横田邦士郎が刃傷沙汰を起こして助けを求めて駆け込んだきた「第二話 木戸送り」など、全四話を収録。
一話完結なので、本書から読み始めても十分楽しめますが、シリーズを通して、六平太とその妹・佐和の暮らしにも変化が起こっていくので、1巻から読み始めると面白さが倍加します。「真田太平記」や「鬼平犯科帳」「御家人斬九郎」など、テレビ時代劇の名脚本家の著者らしく、一話の中に起承転結が緻密に構成されていて、しかも視覚的なイメージとともに伝わってくるので、時代劇を見ているような感じで読み進められます。
このシリーズの帯には、毎回時代劇スターの推薦の言葉が載っていて、ファンの楽しみの一つ。今回は俳優の古谷一行さんです。古谷さんというと、藤沢周平さんの原作の「神谷玄次郎捕物控」(1990年、フジテレビ)やNHK大河ドラマ「秀吉」(1996年)の竹中半兵衛役が思い出されます。
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『付添い屋・六平太 麒麟の巻 評判娘』(第八巻)
『付添い屋・六平太 龍の巻 留め女』(第一巻)
『霧の果て 神谷玄次郎捕物控』(藤沢周平著・文春文庫)