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美貌の女渡世人と童女を襲う凶刃に、仕舞屋の剣が唸る

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仕舞屋侍 青紬の女辻堂魁さんの文庫書き下ろし時代小説、『仕舞屋侍 青紬の女(あおつむぎのおんな)』は、徳間文庫の6月の新刊。『仕舞屋侍(しまいやざむらい)』、『仕舞屋侍 狼』に次ぐ、シリーズ3作目です。

女渡世人おまさは、青梅宿の旅籠で親子三人連れと同宿し、娘のお玉に懐かれる。その夜、何者かに襲われてお玉の両親が殺される。危うく難を逃れたお玉は不相応な小判を所持していた。宿帳に記された江戸の住み処までお玉を送り届けることになったおまさ。追手が再びお玉を襲うが、偶然、九十九九十郎が窮地を助ける。九十郎も内済ごとの絡みからおまさを捜していたのだ……。

主人公の九十九九十郎(つくもくじゅうろう)は、世のもめ事や争い事、商いや勤め先での粗相、縮尻、不始末などの表沙汰にはしたくない事柄や悩みの相談に乗り、表沙汰にならないようにもみ消す、仕舞屋(しまいや)を生業にしています。五十五、六歳の老侍ながら、元は幕府の御小人目付で、剣の腕と知恵を兼ね備えています。風の市兵衛の二十年後といった感じです。

九十郎が近所の家主に依頼されて、長屋の子供たちを襲いケガをさせた、大きな秋田犬の飼い主の旗本に、駆け引きをしながら、かけ合いをするシーンに引き込まれます。

今回は、人に言えない過去をもつ、美貌の女壺振り・おまさとのかかわりと、両親を何者かに殺害された幼女・お玉の愛らしさも読みどころの一つです。

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『仕舞屋侍』
『仕舞屋侍 狼』
『仕舞屋侍 青紬の女』