2016年5月11日から5月20日の間に、文庫で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2016年5月の新刊 中」を掲載しました。
今回の注目しているのは、祥伝社文庫の新刊です。葉室麟さんの傑作時代小説、『潮鳴り』が文庫化されて刊行されます。
俊英と謳われた豊後・羽根藩の伊吹櫂蔵は、狷介さゆえに役目をしくじりお役御免、今や“襤褸蔵”と呼ばれる無頼暮らし。ある日、家督を譲った弟が切腹。遺書から借銀を巡る藩の裏切りが原因と知る。前日、何事かを伝えにきた弟を無下に追い返していた櫂蔵は、死の際まで己を苛む。直後、なぜか藩から弟と同じ新田開発奉行並として出仕を促された櫂蔵は、弟の無念を晴らすべく城に上がる決意を固めるが…。
直木賞受賞作『蜩ノ記』と同じ豊後・羽根藩を舞台に〝再起〟を描く、シリーズ第2弾。単行本刊行時に読んで、挫折した若い侍・耀蔵に自身の若い頃をだぶらせて感動した記憶が甦ります。