東野圭吾の傑作ミステリー、『夢幻花』がPHP文芸文庫より刊行されました。第二十六回(2013年)柴田錬三郎賞受賞作。
花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者は孫娘の梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生の蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事の早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた……。
現代小説にもかかわらず、単行本刊行時に読んで魅了された一冊です。この作品は、PHP研究所の『歴史街道』誌に連載していた小説がベースになっています。歴史雑誌に現代ミステリーという少し奇異な感じがしますが、江戸時代に存在したという幻の黄色いアサガオが重要な役割を演じているからです。
いくつかの事件が複層的に起こり、宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していきます。初読時を思い出しながら、途中で止めらない読書の醍醐味を堪能したいと思います。
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『夢幻花』