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旗本の次男坊が金貸し家に養子入り。気鋭脚本家の時代小説デビュー作

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旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎経塚丸雄(きょうづかまるお)さんの文庫書き下ろし時代小説、『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』が双葉文庫より刊行されました。

旗本の次男坊の安藤新次郎。喧嘩っ早いが、お人よし。腕は立っても、知恵のまわらない。急死した叔父の末期養子として、母の実家の家督を継ぐことなった。その榊原家は家禄百八十俵の小普請の旗本ながらも、なぜかとても裕福。それもそのはず、榊原家は「義理欠く、見栄欠く、情け欠く」を座右の銘とする、隠居で祖父の源兵衛の指揮のもと、裏稼業で「金貸し」を手広く行っていた。果たして新次郎に金貸し旗本家の主人が務まるのか……。

作者の経塚さんは、映画「連弾」「鴨川ホルモー」「THE LAST NARUTO THE MOVIE」などの脚本家として活躍し、本作が時代小説のデビュー作になります。

正義漢だが無学で単細胞の暴れん坊で「やぞうの新」と呼ばれる主人公の新次郎、まるで勝小吉(勝海舟の父)を想起させるキャラクター設定が魅力。算盤はもちろん、漢字も読めない新次郎が、利殖と吝嗇の武士道を標榜する稀代のケチである榊原源兵衛のもとで、金貸し稼業を学んでいくというストーリーにも惹かれます。

宇野信哉さんの表紙装画のイメージともあいまって、肩の凝らない痛快な作品ので大いに楽しめそうです。

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『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』