近世民衆史を専門とする歴史研究家、北原進さんの『百万都市 江戸の生活』(角川ソフィア文庫)。江戸の庶民の生活をもっと知りたくて手にしました。
世界的にもまれな巨大都市・江戸。事件や人物・生活・風俗・経済事情を通して、江戸らしさを見つめれば、現代の東京の原型がくっきりと浮かび上がってくる。熱い銭湯でのやせ我慢、初物売り出し日の盛り上がり、贈答品のリサイクル……。市井のさまざまな噂話をはじめ、豊富な史料を使いながら、江戸っ子の暮らしとその性格を明らかにする。
「町の風景」「江戸っ子の町」「消費都市の経済と商業」「武士の生活」「武士は食わねど」「大江戸事件簿」といった章立てで、史料や古文書に基づいた江戸の社会や経済をテーマにしながらも、一話一話は電車の一駅間で読み終えることができます。江戸時代の大酒、大食の記録や、飯盛女の逃避行、九六銭勘定……、肩が凝らないながらも、ちょっとためになる、薀蓄が語れる読み物ばかりです。
「平平平平」が姓名だとしたら、何と読む? 「江戸文化歴史検定」の1級の試験に出題されるような話も収録されていました。答えは「ヒラダイラ・ヘッペイ」と読むのだそう。
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『百万都市 江戸の生活』