『酔うて候 時代小説傑作選』(徳間文庫)は、注目の新進時代小説家の澤田瞳子さんの編集による時代小説アンソロジーです。
酒を飲んで日々の憂さを忘れたい人、過去を回想する一、酒で身を滅ぼす人など、さまざまな〈酒〉とそれをとりまく人々が登場する。〈酒〉を呑む心、そこで織り成される人間模様はいまも昔も変わらない。ここに収められた作品に出てくる人々は、われわれと同じ酔っ払い仲間だ。時代小説の名手たちに誘われて、江戸の酔郷に遊ぶのも一興……。
『大江戸猫三昧』、『犬道楽江戸草紙』に続く、澤田瞳子さんのセレクションによる、時代小説傑作選の第三弾。ペットに次いで、本書は酒がテーマですが、収録している作品の書き手が渋くて素敵です。
●収録作品
「瓢箪供養」野村胡堂
「恋の酒」山手樹一郎
「なおし屋富蔵」半村良
「髑髏盃」澁澤龍彦
「鶴姫」滝口康彦
「夢の居酒屋 享保の酒・豊島屋十右衛門」童門冬二
「殿中にて」村上元三
「ぼろと釵」山本周五郎
往年の名手の競演で酒小説を堪能できます。とくに気になったのが、童門さんの「夢の居酒屋」。日本酒「金婚」や白酒の老舗として今も盛業の豊島屋本店の祖先十右衛門をモデルに描いています。舞台は享保年間ですが、豊島屋さんは慶長元年創業だそうです。
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『酔うて候 時代小説傑作選』
『大江戸猫三昧 時代小説傑作選』
『犬道楽江戸草紙 時代小説傑作選』
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