澤田瞳子(さわだとうこ)さんの『師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録』(徳間書店)は、幕府直轄の京都鷹ヶ峰の薬草園で働く、一人の女性の葛藤と成長の日々を描く、連作時代小説シリーズの第二作です。
村田涼平さんによる表紙装画では、薬研(やげん)で調薬をする真葛の姿が描かれています。「糸瓜の水」「瘡守」「終の小庭」「撫子ひともと」「ふたおもて」「師走の扶持」の六編を収録。ストーリー展開の中で、薬草の効能と処方など、江戸の薬学にも触れられて楽しめそうです。
京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の御薬園で働く、女薬師・元岡真葛(まくず)。妊娠したという幼い娘が持参した丸薬の秘密。薬種屋の主が仕入れの旅に出ないと言い出した理由。どんな薬を煎じても一向に治らない咳病とは……。糸瓜、芍薬、甘草、肉桂皮、薄荷葉、檳榔子、撫子、杏仁…、真葛が薬草を通じて、ひとの隠れた悩みを解きほぐす。
単行本の新刊はなかなか手が出せないのですが、第一作の『ふたり女房』が自分の嗜好にピッタリで、ヒロイン真葛の活躍と成長を追ってみたいと思い、文庫化まで待てずに入手しました。
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『ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録』(文庫)
『師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録』(単行本)
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