小松エメルさん、近藤史恵さんら五人の気鋭の女性作家陣による『書き下ろし時代小説集 宵越し猫語り』(白泉社招き猫文庫)。『てのひら猫語り』に次ぐ、猫をテーマにした時代小説アンソロジーです。
「旅猫」(近藤史恵)お伊勢参りを果たした猫の話をめぐって二人の娘がしたある賭けとは? 「風来屋の猫」(小松エメル)深川の口入屋の気丈な女主人のもとに、刃傷沙汰で死んだ夫が猫に乗り移って現われた? 「猫の目時計」(佐々木禎子)猫の目の動きから時間を計る研究に没頭する男の思わぬ活躍?
ほかに、『雨宿り』で第6回小説宝石新人賞を受賞してデビューし、吉原を舞台にした時代小説『始末屋』で注目される宮本紀子さんの「両国橋物語」。第18回小川未明文学賞優秀賞受賞し、ファンタジー『アサギをよぶ声』シリーズなどで活躍される森川成美さんの「こねきねま『宿屋の富』余話」を収録しています。
猫をテーマにした時代小説アンソロジーでは、澤田瞳子さんが編集した、『大江戸猫三昧』が思い出されます。登場する猫たちに存在感があって、猫好きにはたまらない一冊です。
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『書き下ろし時代小説集 宵越し猫語り』