稲葉稔さんの『人生胸算用』が文春文庫より刊行されました。
「大名に頭を下げさせる商人になる」とう固い決意を秘めて、17歳の辰馬は、江戸に上った。陸奥磐城平・小名浜の郷士の長男という素性を隠して、深川佐賀町の穀物問屋・石和屋に奉公に入った。少年の成長、淡い恋、そして石和屋をめぐって起こる事件を描いていく……。
「新・問答無用」や「幕府役人事情」など、文庫書き下ろし小説を中心に活躍されている時代小説の名手・稲葉さんの新作。磐城平藩の郷士の息子が大商人を目指して成長していく青春時代小説です。
「(前略)辰馬、一国一城を持つ大名に、頭を下げさせるような男になってみろ」
そういわれたとき、辰馬の中に閃光が走った。顔も姿もみたことはないけれど、藩主安藤信由が、いやいや将軍家慶が自分に頭を下げる図が辰馬の脳裏に浮かびあがった。まったく痛快だと思った。
仕官を目指して剣術と学問に励んでいた辰馬が母に諭されて、地元の長雲和尚に相談して、江戸で大商人を目指すという設定が面白くて、本を手に取ってみました。
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『人生胸算用』
『難局打破!: 新・問答無用』(徳間文庫)
『やれやれ徳右衛門 幕府役人事情』