澤田瞳子(さわだとうこ)さんの『ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録』が徳間文庫より刊行されました。
京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の御薬園で働く、女薬師・元岡真葛(もとおかまくず)。ある日、紅葉を楽しんでいると、侍同士の諍いが耳に入ってきた。「黙らっしゃいッ!」なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女だった。あげく夫を置いて一人で去ってしまった。真葛は、御薬園支配で医師である義兄の匡(ただす)とともに、残された夫から話を聞くことに……。
澤田さんは、『孤鷹の天』で第17回中山義秀文学賞を、『満つる月の如し 仏師・定朝』で第32回新田次郎文学賞を受賞し、『若冲』で第153回直木賞の候補になり、「この時代小説がすごい!2016年版」の単行本ランキング1位に選ばれ、今、最も注目される時代小説家の一人です。
時代小説家の澤田ふじ子さんのお嬢さんで、京都で生まれ育ち、大学と大学院では奈良仏教史を専門にされていたとのこと。(長年にわたる澤田ふじ子さんのファンですが、最近まで母娘関係だと知りませんでした。京都の歴史に精通しているのも納得です。)
本書では、江戸の小石川御薬園、長崎の十善師郷御薬園などと並ぶ幕府直轄の薬草園である、京都・鷹ヶ峰御薬園を舞台にしています。京を舞台にした時代小説の第一人者である澤田ふじ子さんの作品を想起させ、村田涼平さんによる表紙装画からも面白い時代小説のオーラが出ていて、これから読むのが楽しみです。
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『ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録』
『孤鷹の天』(上)
『満つる月の如し 仏師・定朝』
『若冲』