第21回中山義秀文学賞に、風野真知雄さんの『沙羅沙羅越え』(KADOKAWA・中経出版)が選ばれました。
同賞は、福島県白河市出身の芥川賞作家中山義秀(なかやまぎしゅう)さんを顕彰して創設された、時代・歴史小説を対象にした文学賞です。風野さんも福島県出身で、福島県出身の作家が受賞したのは今回が初めてです。
受賞作は、越中を支配する戦国武将・佐々成政が天下取りを目前にした羽柴秀吉の野望を挫くために、厳冬期の北アルプス・立山連峰を越えて、浜松の徳川家康に同盟の直談判に行くエピソードを描いた歴史小説です。「さらさら越え」の史実として知られています。
軽妙なタッチの文庫書き下ろし時代小説シリーズで大活躍の風野さんですが、『水の城 いまだ落城せず』や『奇策 北の関ケ原・福島城松川の合戦』など、戦国時代の埋もれた史実を掘り出して光を当てた面白い時代・歴史小説も書かれています。受賞を機会に読んでみたいと思います。
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『沙羅沙羅越え』(単行本)
『水の城 いまだ落城せず《新装版》』
『奇策 北の関ケ原・福島城松川の合戦』