誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの『使の者の事件帖(一) 女湯に刀掛け』が双葉文庫より刊行されました。
「使(つかい)の者」、言伝や手紙を届けたり、ちょっとした頼まれごとをやる便利屋を生業にしている猪三郎、団扇売りの鹿之丞、楊枝屋「姿屋」の看板娘のお蝶。この三人を、親代わりになって面倒を見てきたのが湯屋「萩の湯」の主人夫婦の留蔵とお萩だが、実は、南町奉行所内与力・村雨卯之助の密命を受けてのことだった。そんな折、猪三郎は、商家の若旦那と二人の遊び人に絡まれている辰巳芸者を助けるが……。
長崎で幼い頃親と死に別れた三人の若者たち(猪三郎・鹿之丞・お蝶)が、以前の長崎奉行を務めて、江戸南町奉行に就いた筒井和泉守政憲に拾われて、その家臣である村雨に育てられた。物心がついたころから、武芸や忍び込む訓練、体術、暗殺術を叩きこまれて、裏の仕事を任せられるという設定がユニークです。主人公の猪三郎の使う武器が三節棍と呼ばれる、二尺ほどの棒が三本、鎖でつながれたもの。
表題の「女湯に刀掛け」は、八丁堀の町方同心が朝はほとんどがらがらの女湯を使うことを習わしにしていたために、八丁堀の湯屋には、女湯なのに刀掛けが置いてあったということをモチーフにしています。他に客のいないはずの女湯で殺された同心は、何者によってどのように殺されたのか?
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『使の者の事件帖(一) 女湯に刀掛け』