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お江戸の屋敷を渡り歩くスーパー女中菊野がお家騒動をズバリ解決

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江戸屋敷渡り女中 お家騒動記 花嫁衣裳桑島かおりさんの『江戸屋敷渡り女中 お家騒動記 花嫁衣裳』(大和書房・だいわ文庫)は、武家屋敷を渡り歩く女中・菊野を主人公に、それぞれの屋敷で起こる騒動劇を描く、痛快時代小説です。江戸版「家政婦は見た!」もしくは「家政婦のミタ」といったところ。

天保十一年(1840)、江戸。
女中の菊野は、今の奉公先の島崎家から、南町奉行所定町廻り同心を務める当主が突然の病で亡くなったばかりの高村家に移ってもらうように依頼を受ける。高村家では、新造は床に臥せがちで、跡目を継いだ長男は小心者で頼りにならず、てんやわんやの状態だという。
菊野は気は小さいが背は高く、美人ではないが愛嬌がある。家には年下でイケメンながら無職の亭主の藤吾と、口うるさい姑の千歳がいて、家計を支えるために外で働かなければならなかった……。

幼い頃に両親を亡くした菊野は、九歳で京にある公家の屋敷に奉公に入り、加奈姫と姉妹のように育ち、加奈が武蔵国の川岸藩の藩主に輿入れした際に、京で知り合った医師の藤吾と結婚して江戸に下ってきました。二人の馴れ初めや、蘭学を学んでいた藤吾が「蛮社の獄」絡みで、医者を辞めて仕事をしなくなったことが明らかになっていきます。

「あの子をよく知る口入れ屋に聞いたのだけれど、その仕事ぶりはどこに行っても評判だそうよ。加えてお菊が渡り歩いた屋敷はどこも以前より家族仲が良くなっていると言うんだからその世話焼きは大したものだわ。本当に、一つの所に留まらないのが不思議なくらいよ」

物語の読みどころは、菊野の有能な女中としての仕事ぶりに加え、ときにはおせっかいのあまり、奉公先のそれぞれの家の抱える問題の解決に乗り出すところ。そんな有能な菊野も家に戻ると、仕事をしない夫と口うるさい姑との間で悩む一人の女性というギャップ、繊細な心情描写も見逃せません。

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『江戸屋敷渡り女中 お家騒動記 花嫁衣裳』

→大和書房 だいわ文庫|江戸屋敷渡り女中 お家騒動記 花嫁衣裳