入江棗(いりえなつめ)さんの『茶屋娘 おんな瓦版 うわさ屋千里の事件帖』が大和書房のだいわ文庫より刊行されました。
江戸三大美人で、笠森稲荷にある茶屋「鍵屋」の人気娘・お仙が突如失踪してしまう。瓦版にネタを売って生計を立てる「うわさ屋」千里(せんり)。三十路で、惚れっぽいたちで、事件を追いかけるはずが気がついたら男を追いかける始末。笠森お仙の行方を追ううちに、千里に危ない影が忍び寄る……。
笠森お仙と言えば、明和年間、浅草寺奥山の楊枝屋「柳屋」の看板娘お藤、二十軒茶屋の水茶屋「蔦屋」の看板娘およしと、江戸の三美人と呼ばれ、絵師鈴木春信の錦絵でもおなじみ。どんな謎が明らかになるのか、千里の活躍ぶりが楽しみです。
作者の入江さんは、『あづま橋髪結い事始』や『花歌舞伎双紙 夏朝顔』(いずれも富士見新時代小説文庫)などがある、新進の作家です。