宝島社文庫より、NHK木曜時代劇「かぶき者 慶次」のノベライズ、『かぶき者 慶次 一』が刊行されました。
本書は、時代劇のノベライズ作品です。原案が火坂雅志さん、作(脚本)が小松江里子さん、ノベライズが百瀬しのぶさんというトライアングルで作られています。2015年2月に亡くなられた火坂さんの歴史観、前田慶次像が作品に生かされています。
徳川家康が関ヶ原の戦で勝利し、上杉家は会津百二十万石から出羽米沢三十万石に減封される。組外衆の多くが将来に見切りをつけて、米沢を去っていく中、戦国一のかぶき者といわれた前田慶次は、上杉家を見捨てずに米沢の地に細々と暮らす道を選ぶ。
六十歳を超える慶次の願いは、息子・新九郎を無事育て上げること。しかし、上杉潰しを狙う徳川方の揺さぶりに上杉家は二つに割れてしまう。その渦中で、慶次は国と子を守るために起ちあがる……。
時代劇では、藤竜也さんが慶次役を、中村蒼さんが新九郎役を演じています。前田慶次(慶次郎、本名は利益)というと、隆慶一郎さんの『一夢庵風流記』と、それを漫画化した原哲夫さんの『花の慶次 ―雲のかなたに―』のイメージが強いですが、晩年の慶次も魅力的です。