谺雄一郎(こだまゆういちろう)さんの文庫書き下ろし時代小説、『顔のない幽霊 泣き虫同心』が刊行されました。涙もろくて女子が苦手で、ぼやきばかりの二十六歳。八丁堀で一番の“ヘタレ男子”、小田桐左近が活躍する捕物小説第2弾です。
“泣き虫”で知られる物書き同心の小田桐左近は、浜町河岸で出会った「顔のない幽霊」が気になって仕方がない。そんな折、作事奉行の道楽息子が襲われる事件が起こる。また、上席与力より、半月前に若い女の死骸が両国橋下流の寄洲に流れ着いた一件は事故死で解決済みということで余計な詮索をしないようにと釘を刺される……。
谺雄一郎さんといえば、書き下ろし伝奇時代小説「醇堂影御用」シリーズ(小学館文庫)で注目の作家。“ヘタレ男子”とか“泣き虫”とか、同心という職務とかけ離れた形容詞に惹かれます。