剣町柳一郎(つるぎまちりゅういちろう)さんの『鞘師勘兵衛の義』は、金沢城下に生きる商人や細工人を描く時代小説集。
「金沢城下ものがたり」とサブタイトルが付けられているとおり、幕末から明治初期にかけての金沢城下が活写されています。
著者の剣町さんはあとがきで、この作品への思いを以下のように書かれています。
時代が変わろうが、大橋の上から眺める才川(犀川)や浅野川、向山や野田山、医王山の風景は変わっていない。吹く風も雨も雷も、昔のままである。そして、今なお残る坂道。ふるさとの風景の中で、名のある大身の武士や大店の主人だけでなく、巷の人々が懸命に生きていたことを書きたいと願う。華やかな金沢百万石の裏に、倹しく生きた人たちがいることを伝えたかった。
この作品のテーマの一つである、剣町さんの稗史への思いを読み取りたいと思います。
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