文藝春秋より、第148回直木三十五賞候補作品6作品が発表になった。
このところ、時代小説作品が候補にノミネートされることが少なかったが、今回はなんと3作品も候補に挙がった。
安部龍太郎さんの『等伯』(日本経済新聞出版社)
伊東潤さんの『国を蹴った男』(講談社)
志川節子さんの『春はそこまで 風待ち小路の人々』(文藝春秋)
安部さんは独自の歴史観で、戦国時代小説の分野で確固たる地位を築かれているが、今回は2度目の候補。『血の日本史』以来、ずっと愛読しているお気に入りの作家の一人。武将ではなく、長谷川等伯を取り上げたところがミソ。上下巻に分冊された作品が候補になるのは珍しいのでは?
伊東さんは時代小説の書き手の中で、今、もっとも直木賞に近い存在の一人。最近の活躍は目覚しい。
志川さんは、先日『手のひら、ひらひら』を読んで存在を知ったばかり。作品は江戸市井物という難しいジャンル。今回のサプライズの一つ。出版元の文藝春秋がイチオシしているというのが強み。
いずれの作品もまだ読んでいないが、時代小説が受賞するとうれしい。
時代小説以外では、朝井リョウさんの『何者』(新潮社)、有川浩さんの『空飛ぶ広報室』(幻冬舎)、西加奈子さんの『ふくわらい』(朝日新聞出版)が候補になっている。いずれの方も今回が初めてもしくは2回目のノミネートというフレッシュな顔ぶれだ。
久しぶりに受賞作品の発表が待ち遠しい。