中村彰彦さんの『北風の軍師たち』を読んでいます。十一代将軍家斉の時代に発令された、「三方所替え」を描いた時代小説です。
「三方所替え」は、武蔵川越の松平大和守家を出羽庄内へ、庄内の酒井左衛門尉を越後長岡へ、長岡の牧野備前守を川越へ所替えをするというもの。三つの藩はそれぞれ同等の表石高や実収でないことから、大きな騒ぎに発展します。とくに、石高の2倍の実収があるという豊かな庄内では、酒井家の藩士ばかりでなく、全国でも指折りの金持ちである本間家や、農民たちなど、藩をあげての所替え反対運動が起こります。
まだ、上巻を読み終えたところですが、ここまででも十分面白さが伝わってきます。庄内の領民たちの運動の全容に加えて、川越藩の忍びの暗闘、鳥人になって空を飛ぶことを夢見る若者・定四郎のエピソードなどが織り交ぜられて目が離せないところです。
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