羽太雄平(はたゆうへい)さんの『転び坂 旗本与一郎』を読みました。『峠越え』、『新任家老 与一郎』(『されど道なかば』を改題)、『家老脱藩 与一郎、江戸を行く』に続く、「与一郎」シリーズの第4弾です。家老の嫡男が若くして家老になり、さらに脱藩した末に、なんと本作では直参旗本になるという想定外の展開の連続で波乱万丈のストーリーが楽しめます。
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かつて在地領主だった榎戸家は、旗本の中でも、三千石以上で役職に就かない寄合で、しかも大名と同じように参勤交代が許された家柄の交代寄合衆、しかも下野国塩谷郡に領地を持つ喜連川家と同じ扱いで、“帰国随意”の特例が認められた。物語の中で、喜連川家に連なる若侍も登場します。
今回は、旗本に取り立てられた榎戸与一郎が新たに与えられた屋敷が、かつてのキリシタン屋敷だったことから、事件に巻き込まれていきます。このキリシタン屋敷は、宗門奉行だった井上筑後守の下屋敷だったところで、新井白石が宣教師シドッチから西洋の事物を聞き書きした場所でもあります。江戸の切絵図を手に、与一郎の屋敷跡を探すのも一興です。
シリーズものというと、脇役たちの活躍ぶりも見逃せません。中でもかつては敵対し、誰よりも与一郎のことを知り尽くている、元目付の奥山左十郎の存在が本編を面白くしています。
■北関東の小藩で家老を務めていた榎戸与一郎は、“神君お墨付”による格別の思し召しにより、交代寄合衆に列し、五千石の直参旗本に取り立てられた。与一郎は、江戸・小日向の「転び坂」という名の坂の近くの土地を拝領し、屋敷を建て始める。普請中の屋敷から神鏡が発掘されたことで、隠れキリシタン組織が動き始める。また、隠れキリシタン騒ぎは“神君お墨付”で仙台藩伊達家を刺激することになる…。
●目次
小日向転び坂
鏡師失踪
愛子一族
宗門改
ヨワン榎
形見の聖母像
希望の復活
黒脛巾組
二百年後の上策
解説 細谷正充
『転び坂 旗本与一郎』
羽太雄平著
角川文庫
386ページ
カバーイラスト:蓬田やすひろ
カバーデザイン:大武尚貴(角川書店装丁室)
時代:村垣淡路守が勘定奉行のころ
場所:茗荷谷、小日向、庚申坂、根津権現社、音羽、下谷七軒町、仙台藩上屋敷、永井町、御箪笥町、増上寺、林泉寺(縛られ地蔵)、柳生家上屋敷、海辺町、千住宿ほか