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土井利勝の妄執を両断する、斬馬刀

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上田秀人(うえだひでと)さんの『破矛(はぼう)』を読みました。信州松代藩真田家で、斬馬刀を預けられ、本陣に突っ込んでくる敵の騎馬武者を迎え撃つ斬馬衆を務める仁旗伊織が活躍するシリーズ第2弾。

斬馬刀は刃渡り七尺(約2.1メートル)、柄までの全長は一丈(約3メートル)を超え、重さは五貫(約20キログラム)、一人ではまともに抜くことさえできないが、当たれば鎧武者を両断するだけの威力があった。

秀忠隊に加わっていた土井大炊頭利勝は、真田信之の父昌幸と弟幸村が籠もる上田城攻略に手間取り、天下分け目の関ヶ原の戦いに遅参するという屈辱を負っていた。そのため、真田家を滅ぼすことこそ、その汚名を晴らす道と考えていた。そして、若き老中松平伊豆守を挑発して、真田家を陥れるために奸計を張り巡らせた。

土井大炊頭と松平伊豆守という、幕府を代表する実力者を相手に、一歩も引かない真田信之が何とも魅力的です。

■老中土井大炊頭の奸計を忍びの神祇衆と斬馬衆仁旗伊織の活躍で砕いたものの、すぐさま江戸城惣堀浚いを命じられて、徐々に力を削がれていく信州松代真田家。しつこくまとわりつく公儀隠密。沼田真田家の御使者番まで草と知れた。伊賀組、戦陣坊主との戦いで、鞘は割れ、曲がってしまった伊織の斬馬刀に、藩存亡の命運が懸かる…。

●目次

第一章 大名の厄

第二章 新旧の克

第三章 闇の復讐

第四章 殿中暗闘

第五章 矛と盾

終章

破矛―斬馬衆お止め記 (徳間文庫)

破矛―斬馬衆お止め記 (徳間文庫)

『破矛 斬馬衆お止め記』

上田秀人・著

徳間書店

徳間文庫

349ページ

2010年4月15日 初刷

カバーイラスト:西のぼる

カバーデザイン:ムシカゴグラフィクス、鈴木俊文

時代:寛永十五年(1638)新春早々

場所:江戸城惣堀、四谷、真田家上屋敷、高輪、江戸城御用部屋、江戸城紅葉山、真田家中屋敷、江戸城帝鑑の間