高田郁(たかだかおる)さんの『想い雲』を読み始めました。大坂出身の娘料理人・澪を主人公にした人情時代小説「みをつくし料理帖」シリーズの第3作目です。
丸善の御茶ノ水店では、大量に平積みされていました。鮮やかな黄色い表紙が眼に飛び込んできました。大きな文学賞を受賞したわけではない、新進の作家の作品、それも時代小説作家では異例です。
しかしながら、『八朔の雪』や『花散らしの雨』を読み、次回作を心待ちにしていた、読者にとっては、この売り場での厚遇ぶりも納得できます。
高田さんの作品にスポットが当たるようになったのは、書店員さんの力によるところが大きいように思われます。
デビュー作の『出世花』には、手書きのポップがつけられたり、少しでもお客さんの目に付きやすい、手に取りやすい位置にこの本がポジションを変えていったり、この作家の作品に対する書店の愛情が伝わってきます。
書店員さんたちは、最初にこの作品に読み、物語に感動し、そのすばらしさをお客さんに伝えたくてたまらなくなった。この作家を育てていきたくなった。そんなふうに思えてなりません。
かくいう私も同じ思いで、この『想い雲』へ期待しています。
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