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「御宿かわせみ」明治編、ホームズっぽくなってきた

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平岩弓枝さんの『花世の立春』は「新・御宿かわせみ」シリーズ(明治の「御宿かわせみ」)の第3弾。明治編になってからストーリー展開が速くて、文庫本化が待ちきれずに単行本で読んでいる。単行本ではお気に入りの蓬田やすひろさんの挿絵も入って楽しい。

花世の立春―新・御宿かわせみ

花世の立春―新・御宿かわせみ

「明石橋の殺人」「俥宿の女房」「花世の立春」「糸屋の女たち」「横浜不二山商会」「抱卵の子」の六編が収録されている。

表題作の『花世の立春』では、麻生花世と畝源太郎が祝言を挙げるのがメインストリーリー。結婚を控えた花世のけなげさが魅力いっぱい。二人を見守る周囲の人たち(かわせみファミリー)の温かさがいいな。

「お前さんは、お前さんの父親によう似て居るよ。(中略)若いくせに人間の機微に関して勘がよい」(『花世の立春』P.208より) ある登場人物による神林麻太郎評だが、主人公の魅力をうまく捉えている。大人として、こんなふうに言われてみたいなあ。

この「新・御宿かわせみ」シリーズは、若き医師の神林麻太郎と弁護士を目指して勉強中の畝源太郎の二人を中心にかわせみファミリーが、周囲で起こる事件を解決していく人情捕物(明治を舞台にしているから探偵というべきか)小説。

文明開化されて洋風化が進む明治を舞台にしているせいか、読み終えたときに「これって、コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの冒険』に似ているな」と思った。麻太郎の医学知識と鋭い洞察力、源太郎の丹念な捜査と人情味あふれる誠実な対応ぶりが、ホームズとワトソンのコンビに匹敵し、心地よい読み味を与えている。

シャーロック・ホームズの冒険 (新潮文庫)

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