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北方謙三さんの時代小説をガイド

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今、発売中の『文蔵 2009.2』で「北方謙三「歴史ロマン」の世界」と題して、北方さんの時代・歴史小説の世界を、ご本人へのインタビューを交えて特集していた。北方さんというと、『武王の門』に始まる南北朝時代から題材を採った歴史小説や『三国志』『水滸伝』などの中国歴史小説で知られる。

文蔵 2009.2 (PHP文庫)

文蔵 2009.2 (PHP文庫)

武王の門〈上〉 (新潮文庫)

武王の門〈上〉 (新潮文庫)

『武王の門』を読んだときに、作品のもつダイナミズムとエネルギー、主人公の魅力、現代的な感覚(歴史観)、高い物語性などがあいまって、大きな衝撃を受けた。そして、次々と出される南北朝小説をむさぼるように読んだ。ハードボイルド小説のような、短い文でリズミカルに描写していく文体がなんとも心地よかった。

文芸評論家の細谷正充氏は、北方さんの作品の世界を、南北朝、江戸、幕末、中国の4つに分類して、楽しみ方をガイドしている。そして以下のように、作品の主題を解き明かしている。

 若き日の作者が、学生運動という“革命”に身を投じていたことは、周知の事実であろう。だが作者は学生運動に幻滅し、革命は挫折に終わる。その蹉跌が創作の原点となったのであろう。物語とは常に、作者の歴史と精神の裡から発する。だからなのだ。現代のリアリティの軛から開放され、より大きなスケールで男の夢や理想を描こうとしたとき、作者は革命に向かわずにはいられないのである。

(『文蔵 2009.2』P.22 特集◎北方謙三「歴史ロマン」の世界)

歴史はよくわからないとか、時代劇・時代小説は古臭い感じがして苦手という方には、北方さんの時代小説をおすすめしたい。どれを最初に読んだらいいかわからない人には、『文蔵 2009.2』の特集は最適なガイドとなるだろう。