佐伯泰英さんの『石榴の蝿』を読んだ。NHK土曜時代劇「陽炎の辻2」も好評の、「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの第27弾。前作で、かつての許婚の奈緒の難儀を救うために出羽山形に行っていた磐音が江戸に戻るところから物語は始まる。
- 作者: 佐伯泰英
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/09/11
- メディア: 文庫
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吉原会所の園八と千次とともに江戸を目前にした磐音は、日光道中の千住掃部宿でにわか雨に降り込められて、雨宿りをする。そこで、お家騒動の諍いにより窮地に陥った若侍大村源四郎を助けるのだが…。
江戸に戻った早々に、磐音がさまざまな事件に巻き込まれるのは、ファンにはたまらないお約束のパターン。今回の見どころは、将軍の世子・家基との交流。そして、先の日光社参のときに、田沼意次の極秘の命を受けて家基の暗殺に加わった、雑賀泰造日根八配下の下忍で、その後、幕府の隠密・弥助に捕らえられて、磐音により尚武館に連れてこられた霧子。
今まで、彼女の登場する場面が少なくて残念だったが、今回は彼女にスポットが当たっているのがうれしい。尚武館で直心影流の剣術の腕を上げ、スランプに陥った仲間を励ましたり、得意の探索の技で磐音の役に立ったりと、大活躍だ。蓬田やすひろさんの表紙の装画の中央で、白い上衣に袴の男装で折れた弓をもって武家姿の男たちを蹴散らしているのが霧子。ちなみに左下で右脇に太刀を抱えているのが磐音。