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作家と編集者の幸福な関係―「文蔵」

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PHP研究所の「歴史街道」編集部より「文蔵(ぶんぞう)」2月1日発売号を送っていただいた。今月号の特集は、「ミステリー小説」を楽しむヒントと題して、人気作家の新堂冬樹さん、恩田陸さんのインタビューや、タイプ別おすすめ作品32など、ミステリー入門編といったところ。守備範囲外だが、気分転換にミステリー小説もたまにはいいかなと思った。道尾秀介さんのインタビューで、ペンネームを都筑道夫さんから取ったということを知り、『背の眼』を読んでみたくなった。

文蔵 2008.2 (PHP文庫)

文蔵 2008.2 (PHP文庫)

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

背の眼〈上〉 (幻冬舎文庫)

「文蔵」は、文庫本サイズの月刊文芸誌だが、歴史・時代小説が常時いくつか掲載されている。編集部に歴史好きが多いためだそうだ。時代小説ファンとしてはうれしいところだ。今号も、火坂雅志さんの『鬼神の如く』、高橋克彦さんの『風の陣[裂心篇]』、山本一力さんの『献残屋佐吉御用帖』の3篇が連載小説として収録されている。山本さんの作品は、献残屋(武家相手の贈答品のリサイクルショップのようなもので、江戸時代特有の商売)を主人公とした時代小説が少ないだけに、単行本にまとまったらぜひ読みたいと思っている。

毎回の特集では、さまざまなジャンルの小説を楽しむ工夫がなされている。一冊通してみると、編集者が歴史に限らず、本当に本が好きなんだなあという感じが伝わってくる。

とくに気に入っているのは、連載の後に筆者のページを1ページ設けて、他社で発行されている本など作家のPRに努めている点だ。高橋克彦さんのところでは、NHK教育テレビの「新日曜美術館」の2月10日(日)放送分で出演されることが紹介されている。浮世絵師歌川国芳について話されるみたいなので、ちょっと見てみたい。私自身、PRということが関心のあるテーマだということもあるが、作家と編集者が良好な関係を築いているんだなあと思う。そういう観点から見ていると、自社出版物の広告すら好感がもてる。

追記(2008/02/11)

『文蔵2008.03』(2008年3月5日発売)の特集は、「池波さんの小説で「江戸情緒」を楽しむ」ということで、逢坂剛さんや林家いっ平さんのインタビューが掲載されるようだ。