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秀頼脱出劇を描く会心作

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今年のGWも終わってしまった。すっかり怠け癖がついてしまい、ブログを6日間も休んでしまった。申し訳ない気持ちが半分とスッキリとした気分が半分といったところか。

GW期間中に、岡田秀文さんの『秀頼、西へ』を読んだ。単行本は、『落ちた花は西へ奔れ』の題名で刊行された作品である。岡田さんは、太閤秀吉暗殺計画をめぐる陰謀を描いた『太閤暗殺』で、第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した、新進気鋭の時代小説家である。

秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)

秀頼、西へ (光文社時代小説文庫)

太閤暗殺 (光文社文庫)

太閤暗殺 (光文社文庫)

『秀頼、西へ』は、大坂冬の陣の直後から夏の陣後を描く時代ミステリーである。戦国時代小説ではなく、時代ミステリーというところが、本作品のミソ。

徳川家康は、腹心の本多正純に命じて大坂城に配下の者平山長十郎を忍び込ませた。一方、真田幸村は息子の大助に、落城の際には豊臣秀頼を連れ出して、薩摩へ落ち延びよと密命を与える。燃えさかる大坂城を脱出した一行は西へ向かう…。

ミステリー仕立てでスケールの大きな謀略を描き、大いに楽しませてくれる傑作エンターテインメント時代小説。大坂夏の陣の戦闘シーンや、荒天の中での航海シーンなど、迫力満点で、戦国小説、海洋小説の醍醐味も堪能できる。文芸評論家の細谷正充さんが解説で第一稿から原稿をブラッシュアップしている点を紹介している。なるほど、面白いわけだ。