風野真知雄さんの『耳袋秘帖 浅草妖刀殺人事件』を読んだ。奇談集『耳袋(耳嚢)』を書き残した赤鬼奉行こと、根岸肥前守鎮衛が、江戸に起きる怪事件の謎を次々解き明かす痛快お裁き帖の第三弾である。
- 作者: 風野真知雄
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2007/04
- メディア: 文庫
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今回は、根岸肥前の家来、坂巻弥三郎が浅草黒船町の叔父の家に泊まりに行った夜に、凶悪な二人組の盗人「おたすけ兄弟」と遭遇したところから始まる。盗人の身軽な動きと連携の取れた逃げっぷりに捕まえそこねてしまうが、盗人のほうも盗んだ金を隠す場所を、町奉行所の中間の与之吉に見られてしまう…。
貧乏神に祈る男、縁の下に住む娘、髪切事件などの江戸の奇談に絡めて、盗人「おたすけ兄弟」の謎、思わぬ大金を入手した男の顛末、持ち主に凶事をもたらす妖刀村正の話などが、軽快なタッチで描かれていく。
3作目ということもあり、坂巻のほかにも、根岸肥前のもう一人の部下である、同心の栗田次郎左衛門など、登場人物たちのキャラクターもはっきりとしてきて読み味をよくしている。7月に発売になるという第4弾も楽しみになった。