尾張徳川家の藩主のために、公の会計とは別に重臣が内密に確保していたお金の帳簿が、「徳川林政史研究所」(東京都豊島区)の保管資料から見つかった。
(朝日新聞・2007年4月7日夕刊)より
朝日新聞の今日の夕刊を読んでいたら、興味深い記事が載っていた。「御印帳」と名付けられて保管されてい帳簿には、1730年から1755年までの、6代継友、7代宗春、8代宗勝の治世にあたる記録が残されていた。毎年上納された税金から、内密に確保した金額は年90両で、毎年ほぼ一定で使途についての記載はない。
宗春の時代に書かれた覚書によると、御印帳の存在はほとんどの家老は知られず、使い道は藩主に一任されていたという。
佐伯泰英さんの「密命」シリーズをはじめ、多くの伝奇時代小説で、徳川吉宗と将軍位を争った継友・宗春兄弟の物語が描かれてきた。この尾張家の暗闘ぶりを資金面からその可能性を示唆するものである。今後、この資料をヒントに、「宗春の手元の溜塗箱から、二つの切餅が家臣の星野に手渡された」といった記述が享保期を描く時代小説に見られることが期待される。
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