『邪宗』を読み始めた。佐伯泰英さんの「交代寄合伊那衆異聞」の第4弾である。佐伯さんの時代小説はストーリー展開が速くて、主人公のスーパーヒーローぶりが痛快で読みやすい。ということで次々出てくる新作を次々に読むことになる。多くのファンをもつ理由だろう。
さて、『邪宗』だが、前作『風雲』で長崎海軍伝習所の剣術教授方に就いた主人公の座光寺藤之助為清。異国情緒あふれるこの地で、いかなる活躍ぶりを見せるかがファンには気になるところ。福岡生まれで九州出身で、若いころ、闘牛カメラマンとしてスペインに滞在した経験をもち、国際冒険小説を書いてこられた著者にとって、長崎の地は作品の舞台としてよく似合っている。
そういえば、佐伯さんの初期の時代小説作品に、長崎出身の絵師通吏辰次郎が活躍する『悲愁の剣』『白虎の剣』があった。