和田はつ子さんの『葉桜慕情』を読む。〈いしゃ・は・くち〉を営む口中医藤屋桂助を主人公とする捕物シリーズの第四弾である。
- 作者: 和田はつ子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/10/06
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今回の注目は、桂助の幼なじみで、〈いしゃ・は・くち〉を手伝っている、志保に求婚を迫る男が登場すること。桂助への思いとの間で揺れ動く志保の微妙な女心が描かれている。
〈いしゃ・は・くち〉を訪れる患者たちへの桂助の治療は的を射たもので、痛みを取り除き和らげてくれる。そして、口中の治療では治すことのできない難事件は、得意の推理で解決に向けて立ち向かう。捕物小説の醍醐味である、謎解きを楽しむとともに、江戸時代の歯科治療の様子を垣間見ることができる貴重なシリーズである。あとがきによると、作者は、江戸期の歯科資料を渉猟するとともに、日本歯学史のオーソリティーに江戸期の歯科監修を受けているそうだ。
前作『花びら葵』で、桂助の出生の秘密が明かされているだけに、このシリーズは、1作目の『南天うさぎ』から2作めの『手鞠花おゆう』、3作めの『花びら葵』と読み進めたほうがよい。
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