佐藤雅美さんの『江戸からの恋飛脚』を読み終えた。主人公の桑山十兵衛の八州廻りとしての活躍ぶりばかりでなく、新しい恋を描いていることで、シリーズ随一の華やかさでエンターテインメント度も高い。
- 作者: 佐藤雅美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/08
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この「八州廻り桑山十兵衛」シリーズの魅力ってなんだろう?
1.八州廻りという役目のもつ面白さ。関八州を巡るときは並ぶものがない権力者であるが、江戸に戻ると九十俵三人扶持の蔵米取りの下っ端役人であることのギャップ。
2.関八州(野州、上州、常州、房州、上総、下総、武州、相州)のあちこちが舞台になることから、その土地の風土や人情が描かれて興味深い。笹沢左保さんの『木枯し紋次郎』もこの点を魅力にしていた。
3.作者が時折物語に織り交ぜる時代考証の確かさ。
4.現実的な正義感・倫理観をもち、行動力と処理能力が高い主人公・桑山十兵衛の魅力。
5.リアリティーをもちながらもオリジナリティーにあふれる事件の数々と十兵衛によるその解決ぶり。
3、4、5は、佐藤雅美さんの他のシリーズ「半次捕物控」「物書同心居眠り紋蔵」「縮尻鏡三郎」にも共通している特徴。今回はとくに、連作形式で8つの物語を収録しながら、全体を通してある方向へと向かう、プロットの巧みさも堪能できる。「八州廻り桑山十兵衛」の今後の展開にも期待したい。次回作が楽しみだ。
- 作者: 佐藤雅美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/09/06
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- 作者: 佐藤雅美
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- 作者: 佐藤雅美
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コメント
近頃になって、やっと佐藤雅美さんの作品を読むようになりました。
紋蔵さんはテレビで最初に知ったのですが、あんまり面白い印象がなかったんですね。鬼の平蔵さんのようなエネルギーを感じられなくて。
ここ数年、公務員さんにまざってアルバイトをするようになってから紋蔵さんの「ゆるさ」加減も気にならなくなりまして(公務員さんごめんなさい)。
そういう味のわかる年齢に自分がなったということも大いにあるかもしれません。
今度は関八州シリーズを読んでみます。
時代小説は読むときのコンディション(心境や体調など)によって、面白さの感じ方が違ってくるように思います。佐藤雅美さんのシリーズものの主人公では、「半次捕物控」シリーズの半次が一番好きです。家を出て行った女房に対するいじいじとしたところに共感を持ってしまいました。